日本発行クレジットカードは海外転出後も使えるか?

目次

日本発行クレジットカードの有効性(海外転出後も使えるか)

居住状態による違い: 日本で発行されたクレジットカードが海外転居後も使えるかは、
住民票を日本に残すかどうかで大きく異なります。
1年未満の短期海外滞在で住民票を残す場合は、基本的に今まで通りカードを利用可能です。
一方、海外転出届を提出して住民票を除票(日本の住民登録を抹消)した場合
日本のクレジットカードは使えなくなるケースがほとんどとされています。

使えなくなる理由: 多くの日本の金融機関やカード会社は、口座やカード保有者を「日本国内の居住者」に限定する規定を設けています。
そのため、住民票を抜いて非居住者になると銀行口座を解約せざるを得ず、口座に紐づくクレジットカードも解約が必要になる可能性があります。
実際、非居住者となった場合、日本の銀行ではサービス制限や口座解約を求められることが多く、結果としてカードの継続利用が難しくなります。

例外の存在: 一部の金融機関では、日本国籍であれば非居住者でも口座を維持できる場合があり、そのような口座を使えばカードを引き続き利用できるケースもあります。
例えば、新生銀行(現:SBI新生銀行)やソニー銀行などは非居住者向けサービスを提供しており、条件付きで口座維持を認めています。
ただしこれらは例外であり、一般的には「住民票を抜いたら日本のカードは無効化される」と考えて準備することが安全です。

カード会社の実態: カード会社の規約に明確に「海外移住したら強制解約」と書かれているわけではありませんが、日本在住であることが前提条件になっている場合がほとんどです。
多くのカードは会員に日本国内の住所・電話番号、および日本の銀行口座を保持することを求めており、この条件を満たしている限り海外在住中でもカード自体は解約されず保有・利用が可能です。
つまり、形式上日本に拠点を残しておけばカードそのものの有効性は維持できます。
ただし後述するように、実際に海外で使い続けるにはいくつか注意点があります。

日本国外でのカード継続利用(決済・現地ATM利用の可否)

海外での決済利用: 日本のカード会社発行のクレジットカードでもVisaやMastercard、JCBなどの国際ブランドが付帯していれば、原則として海外の加盟店でも決済に利用できます。
店舗のカード端末やオンライン決済で問題なく使え、海外赴任中の日常の買い物や各種支払いにそのまま利用すること自体は可能です。
また、海外利用に際して事前に特別な申請は不要な場合が多いですが、不正利用防止のためカード会社に渡航を通知しておくと安心です(急に海外から大量利用があるとセキュリティロックがかかるケースもあります)。

海外ATMでの現地通貨引き出し: 日本のクレジットカードには多くの場合「キャッシング機能(海外キャッシュサービス)」が付帯しており、設定した暗証番号で海外のATMから現地通貨を引き出すことも可能です。
Visaなら「PLUS」、Mastercardなら「Cirrus」、JCBなら「JCB/PLUS」などのマークが付いたATMで利用できます。
クレジットカードでのキャッシングは利息が発生しますが、渡航先で両替所を探さずとも24時間現金を調達できる利便性があります。
短期間で返済すれば為替レート次第では両替より有利な場合もあります。
※利用には事前に暗証番号設定が必要です。

海外利用時の手数料: 日本発行のカードを海外で使うと「海外事務手数料(為替手数料)」がかかります。
カード会社やブランドにもよりますが、利用額の1.5~3%程度が上乗せされるのが一般的です

例えばJCBカードの場合、利用代金を円換算する際に
基準レートに1.6%を加算するルールがあります。
VisaやMastercardも概ね1.6%前後(カード発行会社による)を上乗せしています。
このため、日本のカードを長期間常用すると手数料負担が積み重なります。
為替レートの変動によって請求時の円貨額が想定より膨らむリスクもあるため、海外利用分の明細やレートには注意が必要です。

国際ブランドと利用範囲: 海外での使い勝手はカードの国際ブランドによっても異なります。
VisaやMastercardは世界中で加盟店が多く汎用性が高い一方、JCBはハワイ・グアム・アジア圏など日本人渡航者の多い地域では使える店が増えていますが、ヨーロッパなどでは加盟店が限定される場合があります。
アメリカンエキスプレス(Amex)も国によっては利用可能店舗が限られることがあります。
従って、赴任先の国で主流のブランドを事前に調べ、必要なら複数ブランドのカードを持っていくと安心です。
例えば、欧米ではVisa/Mastercardが鉄板、アジア圏ではJCBも強みを発揮します。

現地通貨建て決済: 海外利用時には、店舗によっては「現地通貨建てか円建てか」を選べる場合があります(Dynamic Currency Conversion)。
基本的には現地通貨建てで決済する方が有利です。
円建てを選ぶと加盟店側の手数料が上乗せされ割高になることが多いため、カード請求額を抑えるなら現地通貨で支払うようにしましょう。

居住地変更による契約条件の変化とカード停止リスク

住所変更の必要性: 長期海外赴任・移住に際しては、クレジットカード登録情報の住所変更が必須です。
カード会社の登録住所は日本国内に限られており、海外の住所へ直接変更することは認められていません
そのため、出国前に日本国内の実家や家族の住所へ変更しておきましょう。
楽天カードの場合も、引越しで住所や電話番号が変わったままだと更新カードを発送できないため、オンラインサービス(e-NAVI)で速やかに住所変更するよう案内されています。
住所変更を忘れると、利用明細や新しいカードが届かずカード利用停止や解約に至るリスクもあるので注意が必要です。

日本国内連絡先の維持: 前述の通り海外住所は登録不可のため、日本国内の家族の住所・電話番号を引き続きカード会社に届け出る形をとります。
多くのカード会社は日本国内の連絡先と引落し用の日本の銀行口座の維持をカード継続利用の条件としています。
実家など確実に連絡が取れる住所を設定し、郵便物は家族に転送や保管を依頼しましょう。
三井住友カードでは、自宅住所を海外に変更できない代わりに「海外生活ヘルプデスク」という有料サービス申し込みで、明細書や更新カードを海外住所に転送してもらうことも可能です (ただし対応できないカード種もあり )。
国内に家族が残る場合はこのサービスを使わずとも現住所据え置きで問題ありません。

カード更新と有効期限: 長期海外在住中にカードの有効期限が切れる場合にも注意が必要です。
新しいカードは日本国内の登録住所にしか送付されないのが一般的で、海外赴任先へ直接郵送してもらうことは基本できません(前述のヘルプデスク等を除く)。
そのため、出国前に有効期限を確認し、必要なら早めの更新発行を依頼しましょう。
楽天カードでは有効期限前でも事情を連絡すれば更新カードを前倒しで受け取れる場合があると案内されています。
三井住友カードなど他社でも、問い合わせにより早期更新に応じてもらえたケースがあります。
もし期限切れまで海外にいて新カードを受け取れないとそのカードは使えなくなってしまうため、余裕を持って対処することが大切です。

利用明細と連絡手段: 海外在住中は紙の利用明細書が届かなくなる可能性が高いため、Web明細(オンライン明細)への切替も必須です。
オンライン明細なら海外からでも毎月の請求額や利用履歴を確認できます。
加えて、カード会社への連絡手段も確認しましょう。
日本のカード会社への問い合わせは原則日本語対応・国内電話になるため、国際電話やメールでの問い合わせ窓口を事前に調べておくと安心です。
カード裏面の番号は海外からは繋がらないフリーダイヤルの場合もあるため、国際電話用の番号をメモしておきましょう。

非居住者判定と口座凍結: 市区町村に海外転出届を出し非居住者になると、銀行や証券口座は非居住者用に区分変更されます。
適切な届出をせず放置すると、マイナンバー失効や住所不明扱いで口座が凍結されるリスクがあります (金融機関は2024年以降、住民基本台帳ネットワーク等で居住状況を把握する動きが強まっています)。
銀行口座が凍結・解約となれば、クレジットカードの引落しができず支払い延滞→カード停止につながりかねません。
したがって、非居住者となる場合は銀行に連絡して口座を非居住者用に切替えてもらうか、非居住者でも維持可能な口座に変更する必要があります。
住民票を抜いた後もカードを使い続ける場合、引落し口座が維持されているか十分確認してください。

日本のカード会社による海外在住者への対応方針(公式見解・利用規約)

国内居住者が前提: 日本の主要クレジットカード会社(例:三井住友カード、JCB、楽天カードなど)は、会員規約や利用案内で基本的に日本国内在住者向けのサービスであることを示唆しています。
例えば三井住友カード株式会社は公式FAQで「登録住所は国内に限られ、海外住所への変更はできない」と明言しています。
楽天カードも更新カード送付先は日本国内に限るとしており、海外居住予定なら事前に国内住所への変更手続きを案内しています。
JCB発行のカードについても、公式サイト上で「住民票を除票して海外転出した場合、現在のカードが使えなくなる可能性がある」と注意喚起しています。

各社公式のスタンス: 三井住友カードでは前述のとおり海外転居後も日本の住所・口座を維持する限り利用可能で、必要に応じ有料で海外転送サービスを提供しています。
JCBカードは直接の住所海外登録はできませんが、日本国内に住所があれば海外利用自体は可能であり、むしろ「海外移住前にカードを解約せず持っておくと一時帰国や旅行の際に便利」と指南しています。
楽天カードも、海外渡航自体を理由にカード契約を強制終了することはなく、あくまで会員情報の更新と国内住所維持をお願いするスタンスです。
要するに、公式見解としては「日本に生活基盤がある限りカード利用OK」という建前になっています。

利用規約上の扱い: カード会社の会員規約に「海外在住となった場合はカード利用停止」といった直接的文言は見当たりません。
しかし多くの規約で「入会申し込み時点で日本国内に住所があること」「日本国内で電話連絡が取れること」「支払い口座は国内の金融機関に限る」といった条項があり、結果的に海外移住者は規約上想定されていないのが現状です。
例えば、住信SBIネット銀行(旧・新生銀行)は「口座は日本居住者向け」であり海外転出時は原則口座解約という方針を公表しています(近年はマネロン対策強化のため非居住者の取引制限を実施)。
このように、カード利用自体は禁止されなくとも周辺条件で事実上制限されるケースが多いです。

カード会社別の対応例:

  • 三井住友カード系(VJA系): 住所は国内のみ登録可。
    海外赴任者向けに郵送物海外転送サービス(有料)あり。
    銀行一体型カード(キャッシュカード機能付など)は海外転送不可のものもある。
    基本方針は「非居住となる場合は日本の住所・口座を維持して利用継続」。
  • JCBカード: 会員サポート情報で海外移住時の注意を周知。
    「日本国内に住所がなく銀行口座も解約する場合、カードも解約が必要」と案内。
    逆に言えば日本国内に住所・口座があれば国際ブランドとして海外利用は問題なし。
    JCB自身グローバル展開していることもあり、海外旅行保険や24時間日本語サポートデスクなど海外利用支援サービスも提供。
  • 楽天カード: オンラインでの住所・連絡先変更を促し、日本出国後も日本の住所を登録するよう案内。
    カード更新時に海外住所への直接発送は不可。
    海外旅行先・赴任先でもカード決済自体は可能で、盗難・紛失時の海外緊急再発行サービス(エマージェンシーカード)なども用意。
    利用約款上は国内居住の明記はないものの、各種手続きは日本国内前提。
  • その他主要カード会社: エポスカード、MUFGカード、セゾンカード等も基本的な扱いは同様です。
    例えばライフカード公式サイトでも「住民票を除票すると銀行口座が利用できなくなり結果としてカードも使えなくなる可能性が高い」と説明しています。
    要はどの会社も「日本国内における継続利用」が前提条件であり、海外在住者向けカードは原則発行していません(※一部、海外駐在員向けに企業提携カードを発行するケースはあります)。

日本発行カードを海外在住者が保持するのはグレーな扱いですが、実務上は黙認されている部分もあります。
日本に住所・口座を維持し延滞なく利用している限り、カード会社から積極的に解約を迫られるケースは多くありません。
むしろ利用が全くないまま有効期限を迎える方が解約リスク(更新されない等)となるため、たまに利用して実績を作っておくのも一策です。

万一カードが停止・解約された場合の代替手段と備え

  • 海外現地のクレジットカード取得: 日本のカードが使えなくなる場合に備えて、赴任先・移住先の国でクレジットカードを早めに作ることが重要です。
    現地発行のカードなら外国通貨での利用に手数料がかからず、為替手数料1.6%といった負担も避けられます。
    また、給与振込先の現地銀行口座と紐づけられるため収支管理もしやすいメリットがあります。
    長期滞在するなら現地のクレジットカードの方が経済的で便利と言えるでしょう。
    多くの駐在員・海外移住者は、ポイントやマイルも貯めやすいことから日本のカードではなく現地のカードをメインに利用している実態があります。
  • 現地カード取得までのつなぎ: ただし渡航直後は、現地でクレジットヒストリー(信用履歴)がないためカード発行審査に通らない場合があります。
    特に就労ビザ取得直後や赴任直後は銀行口座開設すらハードルがある国もあります。
    そのため、日本から持っていったクレジットカードを当面の間は支払いに活用することになります。
    新天地でカードを作れなかった場合のリスクヘッジとして、日本出国前に十分な与信枠のあるカードを1~2枚作成・更新しておくと安心です。
  • 日本のカードを解約せず残すメリット: 年会費無料(または実質無料)のカードであれば、無理に解約せず手元に残す価値があります。
    日本のクレジットカードを持っていれば、帰国時のホテル予約や一時帰国中の買い物にすぐ使えますし、海外から日本のオンラインサービスを利用する際(例:日本の通販サイトやサブスク決済)にも役立ちます。
    特にJCBカードは海外でも使える店舗が増えているため、サブカードとして持っておくと心強いでしょう。
    ただし年会費のかかるカードや利用実績がないと年会費免除にならないカードは、維持コストとの兼ね合いで整理も検討すべきです。
  • 家族にカードを預ける・代理利用: 日本に残る家族がいる場合、家族カードを発行してもらい、自身のカードとともに持っていてもらう方法があります。
    家族カードなら利用代金は本人の口座から引き落とされますが、日本在住の家族が実際に買い物で使えるため、カードが停止されにくくなる効果も期待できます。
    また、本人名義のカードそのものを実家に保管し、日本の公共料金支払いやサブスクリプション料金など日本円建ての支払い専用に使い続ける手もあります。
    こうして一定の利用実績を維持しておけば、カード会社から不審視されるリスクも下がります(長期間未使用だと所在不明と見なされる可能性があるため)。
    もちろんカード情報の管理には十分注意し、家族であってもPINやセキュリティコードは共有しないようにしましょう。
  • その他の代替手段: 万一日本のカードが使えなくなった場合に備え、複数の決済手段を持っておくことが肝心です。
    具体的には:
    • 現地銀行のデビットカード:口座開設と同時に発行されるVisaデビット/Masterデビットは、クレジットカードとほぼ同様に世界中で使えます。
      利用分は即座に口座から引き落とされるため与信審査不要で、クレジットカード代替として有用です。
    • プリペイド式カード・マルチカレンシーカード:Wise(旧TransferWise)のデビットカードなど、複数通貨をチャージして使える国際プリペイドカードは、海外生活での支払いに便利です。
      為替手数料が安く、日本のクレカより有利なレートで外貨支払いが可能なものもあります。
    • 国際ブランド直轄のカード:アメリカン・エキスプレス(AMEX)やダイナースクラブはグローバル展開しており、日本で実績を積んだ会員に対しては赴任先でのカード発行を優遇してくれる場合があります。
      例えばAMEXは「グローバル・トランスファー」という制度で、他国への転居時に現地AMEXカードへの切替・審査をサポートしています。
      渡航前にこれら国際カードを作成しておくと、移住先でスムーズにクレジットカードを入手できる可能性があります。
    • 緊急時のキャッシング枠確保: 日本のカードが使えなくても、国際キャッシュカード(銀行のキャッシュカードで海外ATM引出可能なもの)や、手元のクレジットカードのキャッシング枠は非常時の現金確保手段になります。
      限度額と暗証番号を確認し、いざという時に現金を引き出せる準備も怠らないようにしましょう。
  • まとめ: 長期の海外赴任や完全移住では、日本発行のクレジットカードを引き続き使うためのハードルがいくつか存在します。
    しかし、事前に住所・口座変更など必要な手続きを行い、日本のカード会社の条件を満たしておけばカード自体の有効性は保てます
    その上で、海外では現地のクレジットカードや他の決済手段を上手に組み合わせ、手数料負担の軽減とリスク分散を図ることが大切です。
    日本のカードと現地のカード双方を活用し、渡航先での生活に支障がないよう万全の準備をしておきましょう。
    各カード会社の公式情報や先人たちの実体験を参考に、安全かつお得にクレジットカードを利用できる体制を整えてください。
     
DMM FX バナー

始めるなら【DMM FX】最短10分で取引スタート!
◆◇DMM FX◇◆ お得な特典! 最大500,000円キャッシュバック

無料で口座開設
DMM FX

始めるなら【DMM FX】最短10分で取引スタート!
◆◇DMM FX◇◆ お得な特典! 最大500,000円キャッシュバック

記事をシェアして話のネタにする

コメント

コメントする

目次