ITパスポート取得者の年収が低いとされる主な理由
ITパスポート資格はIT分野の入門的な国家資格ですが、この資格を取っても年収が大幅に上がることはほとんどないと言われます。
実際、求人市場のデータではITパスポート保有者に求められる職種の平均年収は300万～400万円台にとどまり、これは高度なIT資格やスキルを持つ人材に比べて低い水準です（例えば一段上の「基本情報技術者」試験保有者の平均年収は一説には約550万円と報告されています ）。
以下、ITパスポートを取得しても年収が伸び悩むとされる主な要因をできるだけ多く挙げます。
年収が低くなる要因一覧
資格取得の難易度が低く希少価値がない – ITパスポートは合格率がおよそ50～60%前後と高めで、独学でも比較的容易に合格可能な初級資格です。
受験者も年間20万人以上と非常に多く、保持者が多いため人材の差別化につながりにくい資格とされています。
難関資格のような「貴重な技能証明」と見なされにくいため、取得していても給与面で高く評価されることは稀です。
広く浅い知識しか身につかず専門性に欠ける – ITパスポートではIT全般の基礎知識を幅広く学びますが、内容が浅いため実務で通用する高度なスキルは習得できません。
プログラミングなどの専門技術力を証明する試験でもなく、「合格＝市場価値の向上」には直結しないと指摘されています。
現場ではより深い知識や専門スキルが求められるため、ITパスポートだけでは高付加価値の人材とは見做されにくいのです。
取得しても就職・転職で有利になりにくい – 資格を持っているだけでは企業へのアピール材料として弱く、実務経験や具体的なスキルのほうが重視される傾向があります。
特に中途採用では「ITパスポート合格=即戦力」とは見做されず、他の候補者との差別化にはつながりません。
実際、「未経験でも資格を持っているだけでは、経験者には及ばない」という現場の声もあります。
このため資格取得が直接高収入の仕事獲得につながるケースは少ないです。
資格取得だけでは年収アップに直結しない – ITパスポート取得によって給与が上がったという事例はほとんど聞かれません。
一部の企業では資格手当を支給する場合もありますが、その額は一時金で5,000～10,000円、毎月の手当でも2,000～3,000円程度とごく小さいのが相場です。
多くの企業ではITパスポートを持っていても待遇に大きな差はつかず、高年収を目指すには結局さらなる高度資格やスキル習得が必要になるとされています。
資格に対する企業評価が限定的 – ITパスポートは国家資格ではあるものの、採用担当者によっては存在自体を知らない場合や重視しない場合もあります。
特にIT業界では「持っていて当たり前の基礎知識」と見なされ、履歴書の資格欄に敢えて書かない方が良いという意見すらあります。
現役エンジニアからは「社会人でITパスポートを資格欄に書くのは恥ずかしい」「それを書かないと示せる強みがないのかと疑われる」といった厳しい声も出ており、企業によっては評価どころかマイナス印象になりかねないとの指摘もあります。
就ける職種・キャリアパスの限定 – ITパスポート単独で就ける職種は主に初歩的なITサポート業務や一般事務職でITリテラシーを活かす程度にとどまり、高度専門職には直結しません。
この資格だけではエンジニアなどの技術者になれるわけではなく、結局は実践的なスキル習得や上位資格（基本情報技術者や応用情報技術者など）の取得が求められます。
つまりキャリアの入口にはなっても上位ポジションへの道が開けるわけではないため、結果として収入面でも大きな伸びしろが望みにくいのです。
業務独占資格ではなく市場ニーズに直結しない – ITパスポートは取得者しか従事できない「独占業務」を伴わないため、この資格を持っているからこそ得られる特別な職位や役割が存在しません。
例えば弁護士や公認会計士などの士業資格は独占業務ゆえに高い報酬が期待できますが、ITパスポートは誰でも受験できて誰でも業務に就ける分、市場での希少価値や収入プレミアは生まれにくいのです。
試験範囲に実務で役立たない知識も含まれる – 試験内容には経営理論や法律・マネジメント手法なども広く含まれますが、現場で直接使わない知識も多く、「実務能力の証明」にはならないとも言われます。
そのため企業側から見ると、「ITパスポート合格＝仕事ができる」には繋がらず、資格勉強で得た知識が即戦力として評価されにくい面があります。
技術の進歩も早いため、資格取得時点の知識だけでは最新の現場ニーズに対応できず、市場価値向上に結びつかない場合もあります。
以上のような要因が重なり、ITパスポートを取得しても大幅な年収増加には結びつきにくいと考えられています。
実際の年収を左右するのは実務経験・専門スキルの有無や、取得資格のレベルであり、ITパスポートはあくまで土台作りの資格という位置付けです。
今後高収入を目指すには、ITパスポートで身につけた基礎を活かしつつ、より難易度の高い資格取得や実務を通じたスキルアップが不可欠だと専門家らは指摘しています。
例えば基本情報技術者試験や応用情報技術者試験など上位資格に挑戦し、実践的な開発経験を積むことで、市場価値と収入を着実に高めていけるでしょう。
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