確実等価額とリスクディスカウント額の計算についてわかりやすく解説

確実等価額(Certain Equivalent, 確実性等価)とリスクディスカウント額(Risk Discount)は、投資や経済における重要な概念です。

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確実等価額とリスクディスカウント額の計算についてわかりやすく解説

効用関数が\(u(x)\)である個人の意思決定について考えてみましょう。

ランダムな金額\(X\) が当選する宝くじに対して、確実等価額は以下で定義されます。

確実等価額

\begin{align*}u(x^*) = E(u(X)) \end{align*}

をみたす\(x^*\)を確実等価額という。

意味合いとしては、効用の期待値を実現する額のことです。

宝くじの購入金額として妥当なのは?期待効用仮説に基づく考え方

この宝くじの購入金額がいくらであれば、個人は宝くじにレッツ挑戦!するかを考えることにします。
そのために、人々の意思決定について期待効用仮説(Expected Utility Hypothesis)を採用することにします。
期待効用仮説とは、人々が意思決定をする際には、行動の結果に対する効用の期待値を最大化しようとする傾向があるという主張です。

つまり、期待効用仮説を採用すると、人々は\(E(X)\) を気にして意思決定をするのではなく、
\(E(u(X))\) を気にして意思決定をすると考えることができます。

もし宝くじの購入金額\(y\) が、\(u(y) < E(u(X))\) を満たすようであれば、宝くじを購入するでしょう。
一方で\(y\) が、\(u(y) > E(u(X ))\) を満たすようであれば、宝くじにチャレンジしても期待される効用は、宝くじを購入するためにお金を払うことにより失われる効用の方が大きくなってしまうので、
宝くじを購入することはないでしょう。

つまり、\(x^* \) で\(u(x^*) = E(u(X))\) を満たす額は、効用に基づいて考えると、宝くじを購入するにあたり妥当な金額ということになります。

リスクディスカウント額とは?

確実等価額は、効用に基づいて考えると、宝くじの価格として妥当な価格でした。そこで、宝くじの価格を\(x^*\) として設定しておきます。効用のことを忘れてただのお金の額だけのことを考えてみましょう。

宝くじにチャレンジすることで手に入る金額の期待値は\(E(X)\) であり、そのために支払う金額は\(x^*\) です。
このときの差額を、リスクディスカウント額といいます。

リスクディスカウント額

\begin{align*} E(X) – x^* \end{align*}

つまり、単に宝くじによって手にはいる期待金額から、確実等価額を引いた値です。

補足:確実等価額は効用に依存して決定されるので、リスクディスカウント額は、効用が設定されていない場合には計算できません。

例題

設定

確率\(\frac{1}{4}\) で\(1000000\)円が当選する宝くじがあります。
もちろん、外れれば\(1\)円ももらえないです。

効用関数\(u(x) = \sqrt{u(x)}\) である個人に対して次の問題を考えます。

(1)この宝くじの確実等価額はいくらでしょうか。
(2)この宝くじのリスクディスカウント額はいくらでしょうか。

解答:期待効用を求めると、
\begin{align*} \frac{1}{4} \sqrt{1000000} + \frac{3}{4}0 = 250 \end{align*}
です。

この効用を実現するのに必要な額は
\begin{align*} \sqrt{x^*} = 250\end{align*}
を満たす\(x^*\) なので、\(250^2 = 62500\) です。
従って(1)の答えは\(62500\)です。

続いて、効用を忘れて、単純に宝くじの当選金額を考えるとの期待値は
\begin{align*} \frac{1}{4}1000000 + \frac{3}{4}0 = 250000\end{align*}
です。確実等価額との差額は
\begin{align*} 250000 – 62500 = 187500 \end{align*}
ですので、リスクディスカウント額は\(187500\) です。
つまり、(2)の答えは\(187500\)です。

確実等価額やリスクディスカウトの近似的な求め方

設定

\(E(X) = \mu, V(X) = \sigma\) で表すことにします。

効用を期待値の周りで2次の項までテイラー展開することにより
\begin{align*} u(X) \sim u(\mu) + u^\prime(\mu)(X – \mu) + \frac{1}{2}u^{\prime \prime}(\mu)(X – \mu)^2 \end{align*}
が得られるので、期待値をとると
\begin{align*} E(u(X)) \sim u(\mu) + 0 + \frac{1}{2}u^{\prime \prime}(\mu) \sigma^2 \end{align*}
が得られます。

また、確実等価額も
\begin{align*} u(x^*) \sim u(\mu) + u^\prime(\mu)(x^* – \mu) \end{align*}
と一次近似できます。

確実等価額は期待効用を実現する値であったので、\(E(u(X)) = u(x^*)\) です。従って、
\begin{align*} \frac{1}{2}u^{\prime \prime}(\mu) \sigma^2 \sim u^\prime(\mu)(x^* – \mu) \end{align*}
という近似式を得ることができます。

以上のことから、確実等価額は
\begin{align*} x^* \sim \mu + \frac{1}{2} \frac{u^{\prime \prime}(\mu) }{u^\prime(\mu)} \sigma^2\end{align*}
と近似することができます。同様にリスクディスカウントは
\begin{align*} \mu – x^* = – \frac{1}{2} \frac{u^{\prime \prime}(\mu) }{u^\prime(\mu)} \sigma^2\end{align*}
と求めることができる。

補足:
\begin{align*} A_u( x) = \frac{- u^{\prime \prime}(x) }{u^\prime(x)} \end{align*}
を\(x > 0\)におけるリスク回避度と呼ぶことにすると、
\begin{align*} x^* \sim \mu – \frac{1}{2} A_u (\mu) \sigma^2\end{align*}
と近似的に表すことができる。
効用が単調増大かつ上に凸であることから、リスク回避度は正であるので、リスク回避度が高ければ高いほど、確実等価額は小さくなると解釈することができる。すなわち、小さい金額で期待効用を実現することができることを意味する。

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