xe^(x^2)の微分とマクローリン展開を計算する裏技をわかりやすく解説

この記事では\(xe^{x^2}\)の微分とマクローリン展開をわかりやすく解説します。大学1年生の微積分の講義でしばしば扱われる関数であるので、暇な人は確認しておきましょう。

目次

xe^(x^2)の微分とマクローリン展開を計算する裏技をわかりやすく解説

\(xe^{x^2}\)の1階の微分は直ちに計算できますが、さらに高階の微分の値を計算しようとすると、素朴にはやや面倒です。
しかしながら、よくしられたテクニックを用いることで少しだけ簡単に計算することができます。
まずは1階の微分を確認しておきましょう。

xe^(x^2)の微分

\(xe^{x^2}\)の微分は以下のように計算されます。

\(xe^{x^2}\)の微分

\begin{align*} \frac{d}{dx} xe^{x^2} = (1 + 2x^2) e^{x^2} \end{align*}

\(xe^{x^2}\)の微分を計算するために、まず積の微分と合成関数の微分を思い出しておきましょう。

定理: 積の微分

\(f, g\)を微分可能な関数とする。
\begin{align*} \frac{d}{dx} f(x)g(x) = f^\prime (x) g(x) + f(x) g^\prime(x) \end{align*}
が成り立つ。

定理: 合成関数の微分

\(f, g\)を微分可能な関数とする。
\begin{align*} \frac{d}{dx} f( g (x)) = f^\prime (g(x)) g^\prime(x) \end{align*}
が成り立つ。

このことを踏まえて、\(xe^{x^2}\)の微分を計算してみましょう。
まず最初に\(e^{x^2}\)の微分を、合成関数の微分に従って微分します。
\(e^{x}\)の微分は\(e^x\)で, \(x^2\)の微分が\(2x\)であるので、
\begin{align*} \frac{d}{dx} e^{x^2} = 2x e^{x^2} \end{align*}
であることが確かめられます。
そして、\(xe^{x^2}\)を\(x\)と\(e^{x^2}\)の積とみなして、積の微分を適用することで
\begin{align*} \frac{d}{dx} xe^{x^2} = e^{x^2} + x 2x e^{x^2} = (1 + 2x^2) e^{x^2} \end{align*}
と結論を得ることができました。

xe^(x^2)のマクローリン展開

\(x e^{x^2}\)の\(n\)階の微分の\(a\)での値\(f^{(n)}(a)\)を求めよと言われると、愚直に計算すると非常に大変になります。
実際に、積の微分と合成関数の微分を用いてひたすら繰り返し計算していくと、
\begin{align*} \left(\frac{d}{dx} \right)^2 x e^{x^2} &= 2 x (2 x^{2} + 3 ) e^{x^{2}} \\ \left(\frac{d}{dx} \right)^3 x e^{x^2}&= 2 (2 x^{2} (2 x^{2} + 3) + 6 x^{2} + 3) e^{x^{2}}\\ \left(\frac{d}{dx} \right)^4 x e^{x^2}&= 4 x (4 x^{4} + 20 x^{2} + 15) e^{x^{2}} \\ \left(\frac{d}{dx} \right)^5 x e^{x^2}&= 4 (20 x^{4} + 2 x^{2} (4 x^{4} + 20 x^{2} + 15) + 60 x^{2} + 15) e^{x^{2}} \\ \left(\frac{d}{dx} \right)^6 x e^{x^2}&= 8 x (8 x^{6} + 84 x^{4} + 210 x^{2} + 105) e^{x^{2}} \\ \left(\frac{d}{dx} \right)^7 x e^{x^2}&= 8 (56 x^{6} + 420 x^{4} + 2 x^{2} (8 x^{6} + 84 x^{4} + 210 x^{2} + 105) + 630 x^{2} + 105) e^{x^{2}} \\ \left(\frac{d}{dx} \right)^8 x e^{x^2}&= 16 x (16 x^{8} + 288 x^{6} + 1512 x^{4} + 2520 x^{2} + 945) e^{x^{2}} \\ \left(\frac{d}{dx} \right)^9 x e^{x^2}&= 16 (144 x^{8} + 2016 x^{6} + 7560 x^{4} + 2 x^{2} (16 x^{8} + 288 x^{6} + 1512 x^{4} + 2520 x^{2} + 945) + 7560 x^{2} + 945) e^{x^{2}} \\ \left(\frac{d}{dx} \right)^{10} x e^{x^2}&=32 x (32 x^{10} + 880 x^{8} + 7920 x^{6} + 27720 x^{4} + 34650 x^{2} + 10395) e^{x^{2}} \\ \left(\frac{d}{dx} \right)^{11} x e^{x^2}&=32 (352 x^{10} + 7920 x^{8} + 55440 x^{6} + 138600 x^{4} + 2 x^{2} (32 x^{10} + 880 x^{8} + 7920 x^{6} + 27720 x^{4} + 34650 x^{2} + 10395) + 103950 x^{2} + 10395) e^{x^{2}} \end{align*}
というように計算できはしますが、非常に大変です。

そこで、以下のようなテクニックを駆使して考えます。
\(e^{x}\)のマクローリン展開は
\begin{align*} e^{x} = 1 + x + \frac{x^{2}}{2!} + \frac{x^{3}}{3!} + \frac{x^{4}}{4!} + \frac{x^{5}}{5!} + \frac{x^{6}}{6!} +\dots + \frac{x^n}{n!} + \dots \end{align*}
であるので、
\(e^{x^2}\)のマクローリン展開は、
\begin{align*} e^{x^2} = 1 + x^2 + \frac{x^{4}}{2!} + \frac{x^{6}}{3!} + \frac{x^{8}}{4!} + \frac{x^{10}}{5!} + \frac{x^{12}}{6!} +\dots + \frac{x^{2n}}{n!} + \dots \end{align*}
であることがわかります。このことから、
\(x e^{x^2}\)のマクローリン展開は、
\begin{align*} x e^{x^2} = x + x^3 + \frac{x^{5}}{2!} + \frac{x^{7}}{3!} + \frac{x^{9}}{4!} + \frac{x^{11}}{5!} + \frac{x^{13}}{6!} +\dots + \frac{x^{2n + 1 }}{n!} + \dots \end{align*}
であることがわかります。

ここで、例えば具体的に\(\left( \frac{d}{dx} \right)^{101} x e^{x^2}\)の\(0\)における値を計算したいとしましょう。\(f(x) = x e^{x^2}\)と表記することにすると、\(f^{(101)} (0)\)です。
\begin{align*} x e^{x^2} = f(0) + f^\prime(0) x + \frac{f^{(2)}(0) }{2! } x^2 + \frac{f^{(3)}(0) }{3! } x^3 + \frac{f^{(4)}(0) }{4! } x^4 + \frac{f^{(5)}(0) }{5! } x^5 + \dots + \frac{f^{(n)}(0) }{n! } x^n + \dots \end{align*}
であったので、
\begin{align*} x e^{x^2} = x + x^3 + \frac{x^{5}}{2!} + \frac{x^{7}}{3!} + \frac{x^{9}}{4!} + \frac{x^{11}}{5!} + \frac{x^{13}}{6!} +\dots + \frac{x^{2n + 1 }}{n!} + \dots \end{align*}
と見比べて、\(x^{101}\)の係数が一致するということを利用すると、
\begin{align*} \frac{1}{50!} = \frac{f^{(101)}(0) }{101! } \end{align*}
であることがわかります。
すなわち、
\begin{align*} f^{(101)}(0) = \frac{101 !}{50 !} \end{align*}
であることがわかります。

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