実数値関数の不連続点は閉集合の可算和であることの証明

実数値関数の不連続点は閉集合の可算和であることの証明をします。このことは、関数の連続性を深く理解する上でもしかすると重要です。

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実数値関数の不連続点は閉集合の可算和であることの証明

次の命題が成り立ちます。

命題

実数値関数\(f: \mathbb R^n \rightarrow \mathbb R\) の不連続点は閉集合の可算和である。

記号

一般的な記号をあらためて確認しておきましょう。

\(x \in \mathbb R^n, r > 0\) に対して

\begin{align*} B(x; r ) = \{y \in \mathbb R^n \mid || x – y || < r \}\end{align*}

と定めます。中心を\(x \in \mathbb R\)とする半径\(r > 0\) の開球です。

\begin{align*} \textrm{diam} f(B(x ; r)) = \sup_{y, z \in B(x; r)} |f(y) – f(z)| \end{align*}

と定めます。

証明

不連続点全体は、

\begin{align*} \bigcup_{n \in \mathbb N } \{ x \mid \lim_{r \rightarrow 0} \textrm{diam } f(B(x ; r)) \geq 1/n \}  \end{align*}

であることが落ち着いて考えたらわかります。

そこで、任意の\(n \in \mathbb N \) に対して、

\begin{align*} \{x \mid  \lim_{r \rightarrow 0} \textrm{diam} f(B(x ; r)) \geq 1/n \}  \end{align*}

が閉集合であることを示すことにします。

そのために、補集合

\begin{align*} \{x \mid  \lim_{r \rightarrow 0} \textrm{diam } f(B(x ; r)) < 1/n \}  \end{align*}

が開集合であることを示すことにします。

任意に\(x  \in \{x \mid \textrm{diam} f(B(x ; r)) < 1/n \}  \) をとります。

適当な\(R > 0\) で、

\begin{align*} \textrm{diam} f(B(x ; r)) \leq  1/n \end{align*}

を満たすものがとれるので、とっておきます。

\(x\) が内点であることを示しましょう。適当に$x ^\prime \in B(x; r/3)$ をとります。

\begin{align*} B(x^\prime; r/3 ) \subset B(x; r) \end{align*}

であることが確認できます。ですので、

\begin{align*} \textrm{diam} f(B(x^\prime ; r/3 )) \leq \textrm{diam} f(B(x ; r)) < 1/n  \end{align*}

となるので、

\begin{align*} B(x ; r/3) \subset  \{x \mid  \lim_{r \rightarrow 0} \textrm{diam} f(B(x ; r)) < 1/n \}  \end{align*}

が成り立ちます。

従って、任意の点が内点なので、開集合です。

つまり、

\begin{align*} \bigcup_{n \in \mathbb N } \{ x \mid \lim_{r \rightarrow 0} \textrm{diam} f(B(x ; r)) \geq 1/n \}  \end{align*}

は閉集合の可算和なので、主張が従います。

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