トマエ関数の反対?有理数で連続で無理数で不連続な関数は存在するのか

トマエ関数は有理数において不連続である一方、無理数では連続であるという特徴的な性質をもつ関数です。この関数の存在が引き起こす疑問は、ある意味で反対な疑問「有理数で連続で無理数で不連続な関数は存在するのか?」というものです。

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トマエ関数の反対?有理数で連続で無理数で不連続な関数は存在するのか

簡潔に言うと、そのような関数は存在しません

事前準備

最初に理解するべき重要な事実は、任意の実数値関数\(f: \mathbb R \rightarrow \mathbb R\)に対して、不連続点は適当な閉集合の可算和として表される、ということです。このことは別の記事で簡単な証明を書いています。

とりあえず今回はこの事実を受け入れて進めましょう。

有理数で連続で無理数で不連続な関数が存在しないことの証明

有理数で連続で無理数で不連続な関数が存在すると仮定し、この関数を$f$とします。

事前準備で述べたことを認めると、不連続点全体が、適当な閉集合の可算和として表されることになります。ここで、不連続点全体がずばり無理数全体であったので、可算個の閉集合$F_n$を用いて、

\begin{align*} \mathbb R \setminus \mathbb Q = \bigcup_{n \in \mathbb N} F_n \end{align*}

と表せるわけです。

ここで、ベールの範疇定理(ベールのカテゴリー定理)という強力な定理を用います。この定理の主張は、「完備距離空間の部分集合が閉集合の可算和で表される場合、それらの閉集合の中には少なくとも一つ、内点を持つ集合が存在する」ということです。したがって、\(F_N \in \{ F_n\}\) で内点をもつものがとれます。

さて、内点の開近傍\(U \subset F_N\) を考えると、 稠密性により、この\(F_N\)は有理数を含んでいることがわかります。つまり、適当な有理数で不連続となります。

しかし、これは我々が仮定した\(f\)が有理数で連続であるという性質と矛盾してしまいます。

これにより、有理数で連続で無理数で不連続な関数は存在しないことが示されました。

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