この記事では需要が指数分布に従う市場の在庫最適化問題の解き方を解説します。
ある財は、1個あたりのコストが\(c\)円で、市場価格は\(p\)円で売れるとします。
市場における需要を確率変数\(D\)とし、\(D\)は平均が\(\mu\)の指数分布に従うとします。
このとき、最適な在庫数はいくらかを考えてみます。
ここで、最適な在庫数を、「利益の期待値が最大となる在庫数」とします。
まず初めに利益を定式化します。在庫数を\(q\)で表記することにすると、
\begin{align*} \pi(q) = p\min(D, q) – cq\end{align*}
となります。
というのも、需要より多く在庫を抱えたとしても、結局は需要されている量\(D\)しか売れないからです。
\begin{align*} E(\pi (q)) = E \left( p\min(D, q) – cq\right) \end{align*}
ここで、
\begin{align*} E \left( \min (D, q) \right) = \int_0^q e^{- \frac{1}{\mu} x} dx = \mu – \mu e^{ – \frac{1}{\mu} q}\end{align*}
と計算することができます(生存関数の積分で期待値を求めています)。
というわけで、
利潤は、
\begin{align*} p \left( \mu – \mu e^{ – \frac{1}{\mu} q} \right) – cq\end{align*}
となります。最適化問題を解くために、\(q\)で微分して\(\partial_q \pi (q) = 0\)を解くことにすると、
\begin{align*} p e^{- \frac{1}{\mu} q} – c = 0\end{align*}
ですので、
\begin{align*} q = \mu \log \frac{p}{c} \end{align*}
が、利潤を最大化する在庫数ということになります。
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