ケリー基準の導出をわかりやすく解説!!

ケリー基準(Kelly Criterion)は、投資や賭けにおいて最適な資金配分を決定するための数学的公式です。ジョン・ラリー・ケリー・ジュニアによって1956年に発表されたこの公式は、特にリスクを伴う状況での収益を最大化する方法を提供します。

目次

ケリー基準の導出をわかりやすく解説

ケリー基準は、ある賭けの勝利確率、敗北時に失う金額、そして勝利した場合に得られる金額を基にして、その賭けに投じるべき資金の割合を計算します。この基準に従うことで、長期的に見て資金を効率的に増やすことができます。

ケリーとは

ケリーについてwikipediaで見てみましょう。

https://ja.wikipedia.org/wiki/ジョン・ラリー・ケリー・ジュニア

ジョン・ラリー・ケリー・ジュニアは、1923年にテキサス州コーシカナで生まれ、1965年にニューヨークのマンハッタンで亡くなったアメリカの科学者です。彼はベル研究所で働き、主に情報科学の分野で活動しました。彼の最も有名な業績は、ギャンブルや投資などの不確実な状況下で最も効率的な資金配分方法を提案する「ケリー基準」として知られています。この理論は、経済学だけでなく、情報理論にも大きな影響を与えました。

ケリーはまた、音声合成の分野においても重要な貢献をしました。彼は1961年、IBMの7094コンピュータを使って「デイジー・ベル」という曲を初めてコンピュータに歌わせたことで知られています。この実験は、SF作家アーサー・C・クラークに大きな影響を与え、「2001年宇宙の旅」という映画や小説において、コンピュータHAL 9000が「デイジー・ベル」を歌うシーンにつながりました。

ケリーはマンハッタンで脳内出血により41歳で急逝しました。彼の生涯は、科学と技術の分野において多大な影響を与えたことで記憶されています。

ケリー基準とその導出の解説

ケリー基準を宝くじゲームを例として、設定を整理しましょう。以下の条件を考慮しています。

設定
  • 宝くじゲームの参加: プレイヤーは宝くじゲームに参加します。
  • 掛け金: プレイヤーは任意の金額を宝くじに賭けることができます。
  • 投資比率: 所持金全体における掛け金の比率を\(f\)とします。つまり, \(f\)は(掛け金)/(所持金)です。
  • 当選時の報酬: 宝くじが当たると、掛け金の\(b\)倍の金額がもらえます。例えば\(b=3\)の場合、100円を賭けて宝くじが当たれば、300円(利益として200円)がもらえます。
  • はずれ時の損失: 宝くじがはずれた場合、掛け金の\(a\)倍が没収されます。例えば, \(a = 0.3\)の場合、100円を賭けて宝くじがはずれれば、30円(30円の損失)が没収され、70円が手元に残ります。
  • 宝くじの当選確率: 宝くじの当選確率を\(p\)とします。

このとき、臨界点となる投資比率\(f^*\)は次の式によって与えられます。

命題: 最適投資比率, ケリー基準

\begin{align*} f^* = \frac{p}{a} – \frac{1-p}{b}\end{align*}

証明:
期待収益率を最大化することと、期待対数収益率を最大化することは同じであるので、
期待対数収益率を最大化することにします。
つまり、
\begin{align*} p \log (1 + f b ) + (1 – p) \log (1 – f a)\end{align*}
の最大化を考えます。臨界点を求めてみましょう。
\begin{align*} \frac{p b}{1 + fb} + \frac{-a(1 – p)}{1 – f a} = 0\end{align*}
を解けば良いので、
\begin{align*} pa(1-fa) – a(1-p)(1 + fb) &= 0\\ pb – fpab – a(1-p) – fb a(1-p) &= 0 \\ fab(p + 1 – p ) &= pb – aq \\ f = \frac{p}{a} – \frac{(1-p)}{b} \end{align*}
と求めることができます。

ただし、この\(f^*\)が0から1の範囲に収まるかどうかは\(p, a, b\)の値に依存することに注意しましょう。

あわせて読みたい記事

記事をシェアして話のネタにする

コメント

コメントする

目次