金利平価は、国内と海外の金利差を為替レートと結びつける考え方です。カバー付き金利平価(CIP)は先物で為替リスクを固定する無裁定条件、カバーなし金利平価(UIP)は将来の直物レートに対する期待を使う関係です。二つは似た式ですが、意味と成立条件が違います。
カバーなし金利平価とカバー付き金利平価の違い
- \(S_t\):現在の直物為替レート(外国通貨1単位あたりの自国通貨)
- \(F_t\):1期間後に受け渡す先物為替レート
- \(i_d\):自国金利
- \(i_f\):外国金利
- \(\mathbb{E}_t[S_{t+1}]\):現時点の情報に基づく、次期直物レートの期待値
カバー付き金利平価(CIP)
自国通貨1単位を国内で運用すると、1期間後には\(1+i_d\)になります。
一方、海外で運用する場合は、まず直物レートで外国通貨\(1/S_t\)単位に交換します。それを外国金利で運用し、同時に先物契約で自国通貨へ戻すレートを\(F_t\)に固定すると、1期間後の金額は
\begin{align*}(1+i_f)\frac{F_t}{S_t}\end{align*}
です。取引費用や資本規制などを無視し、同じ信用リスク・満期の取引で裁定機会がないなら、両者は等しくなります。
\begin{align*} 1+i_d=(1+i_f)\frac{F_t}{S_t} \quad\Longleftrightarrow\quad \frac{F_t}{S_t}=\frac{1+i_d}{1+i_f} \end{align*}
先物契約によって換算レートが固定されるため、ここで比較しているのは確定した将来金額です。
カバーなし金利平価(UIP)
先物で為替リスクを固定しない場合、海外運用の自国通貨建て金額は将来の直物レート\(S_{t+1}\)によって変わります。期待値を使うと、期待収益は
\begin{align*}(1+i_f)\frac{\mathbb{E}_t[S_{t+1}]}{S_t}\end{align*}
です。投資家が為替リスクに対して中立で、同じリスクの資産を比較できるといった仮定を置くと、
\begin{align*} 1+i_d=(1+i_f)\frac{\mathbb{E}_t[S_{t+1}]}{S_t} \end{align*}
という関係を考えられます。ただし、UIPはCIPのように単純な無裁定だけから出る式ではありません。将来の為替レートは不確実で、実際には為替リスクプレミアムや期待形成のずれが入るため、常にぴったり成立するとは限りません。
数値例で比較する
直物レートが\(S_t=150\)円/ドル、日本の1年金利が\(i_d=1\%\)、米国の1年金利が\(i_f=4\%\)だとします。CIPが成立する先物レートは、
\begin{align*} F_t =150\times\frac{1.01}{1.04} \approx145.67\text{円/ドル} \end{align*}
です。このレートで先物予約できれば、円で運用しても、ドルに替えて米国で運用してから円へ戻しても、同じ確定収益になります。
UIPでは、\(145.67\)円/ドルは「必ず実現する先物レート」ではなく、仮定のもとで整合的な将来直物レートの期待値です。実際の1年後の為替レートが160円なら結果は大きく異なります。
違いを一言で整理
| 項目 | CIP | UIP |
|---|---|---|
| 将来の換算レート | 先物レートで固定 | 将来の直物レートで不確実 |
| 為替リスク | カバーする | カバーしない |
| 中心となる考え方 | 無裁定 | 期待収益とリスクに関する仮定 |
| 式に入るレート | \(F_t\) | \(\mathbb{E}_t[S_{t+1}]\) |
なお、為替レートを「自国通貨1単位あたりの外国通貨」で定義する教科書では、比率が逆向きになります。式を暗記するより、1単位の資金が最後にいくらになるかを順番に計算すると混乱しません。

