積分表示された複素関数の正則性について

この記事では、積分の形で表示されているような複素関数の正則性について紹介します。

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積分表示された複素関数の正則性について

個人的に、与えられた複素数値関数が正則であるかどうかを調べるのは面倒臭いです。そもそも複素数が苦手です。

状況設定

パラメータ\(z \in \mathbb C\) をもつ複素数値関数\(f: \mathbb R^n \times \mathbb C \rightarrow \mathbb C\) を考えることにします。

\begin{align*} F(z) := \int_{\mathbb R} f(x, z) dx \end{align*}

このような複素数値関数\(F: \mathbb C \rightarrow \mathbb C\) を考えてみます。

適当な開集合\(U \subset \mathbb C\) でこの積分が収束しているような状況を考えることにします。

正則性のチェック

以上の状況設定のもとで、\(F\) が正則かどうかを考えることにします。そこで、次の定理を用いることにします。

定理(モレラの定理)

\(u: \mathbb C \rightarrow \mathbb C\) を開領域\(D \subset \mathbb C\) 上で連続な複素数値関数とする。任意の区分的\(C^1 \) 閉曲線\(c: [0, 1] \rightarrow D\) に対して

\begin{align*} \int_c u(z) dz = 0 \end{align*}

が成り立つならば、\(u \) は\(D\) 上で正則である。

つまるところ、適当に区分的\(C^1\) 閉曲線$ltaex c$ をとって

\begin{align*} \int_c \int_{\mathbb R^n} f(x, z) dx dz \end{align*}

を計算して\(0\) になるかどうかを確かめればよいということになります。

二重積分の実行をどうするか

\( \int_c \int_{\mathbb R^n} f(x, z) dx dz\) の積分の値についてですが、結局のところフビニの定理に訴えかけて先に\(z\) に関して積分するなどすれば解決することがあるかもしれません。

例えば\(f\) がフビニの定理が成立するような関数でありかつ任意の\(x\) に対して\(f(x, z)\) が\(z\) に関して正則であるような状況であれば、先に\(z\) について積分を実行すれば\(0\) になると思います。

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