相関係数が-1以上1以下であることの証明をわかりやすく解説

二つの確率変数に対して相関係数が必ず-1以上1以下の範囲であることの証明をわかりやすく解説します。

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相関係数が-1以上1以下であることの証明をわかりやすく解説

2つの確率変数\(X, Y\) を考えます。それぞれの分散を\(V(X), V(Y)\) で表すことにします。

相関係数\(\rho\)は

\begin{align*} \rho = \frac{E\left((X – E(X))(Y – E(Y)) \right)}{\sqrt {V(X)} \sqrt{V(Y)} }\end{align*}

により定義され、2つの変数間の関係の強さを表す指標です。期待値\(V(X), V(Y)\) が存在する時(無限でない時という意味です)、

\begin{align*} -1 \leq \rho \leq 1 \end{align*}

が成り立つことを証明してみましょう。

事前準備:期待値に関するコーシー・シュワルツの不等式

2つの確率変数\(A, B\) について、期待値\(E(A^2), E(B^2)\) が存在する時(無限でない時という意味です)、コーシー・シュワルツの不等式から、

\begin{align*} (E(AB)) ^2 \leq E(A^2)E(B^2) \end{align*}

が成り立つことを思い出しておきましょう。このことから、\(A= X – E(X), B = Y – E(Y)\) とすると、

\begin{align*} \left( E\left((X – E(X))(Y – E(Y)) \right) \right)^2 &\leq E( (X – E(X)) ^2 )E( (Y – E(Y)) ^2 ) \\& \leq V(X)V(Y) \end{align*}

が成り立つことを確認しておきます。

相関係数が-1以上1以下であることの証明

\begin{align*} \rho^2 \leq 1 \end{align*}

を示すことにします。事前準備で得られた不等式から、

\begin{align*} \rho^2 &= \frac{\left( E\left((X – E(X))(Y – E(Y)) \right) \right)^2 }{V(X) V(Y) } \\& \leq \frac{V(X)V(Y)}{V(X)V(Y)} \\&= 1\end{align*}

が得られ、確かに\(\rho^2 \leq 1\) を示すことができました。これは\(-1 \leq \rho \leq 1\) と同値ですので、証明が終了します。

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