微分演算子はエルミートではないが虚数単位iをかけるとエルミートになることの証明

微分演算子がエルミート演算子でない一方で、虚数単位\(i\)を掛けるとエルミート演算子に変わるという興味深い性質について解説します。この特性は数学だけでなく、量子力学の理解にも大きな影響を与えるため、科学や数学に興味がある方々にとって非常に重要な概念です。

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微分演算子はエルミートではないが虚数単位iをかけるとエルミートになることの証明

エルミート演算子とは

\begin{align*} (Af, \overline{g}) = (f, \overline{Ag})\end{align*}

を満たす演算子のことです。

補足

この記事ではどの空間で考えているかや、定義域など数学的なことはあまり考えていません。

関数空間としてコンパクトな台をもつ複素数値関数を考えることにします。

1次元に限って考えることにしましょう。

微分演算子がエルミートでないことの証明

微分演算子

\begin{align*} \partial_x \end{align*}

を考えましょう。

部分積分を実行することで、

\begin{align*} \int \partial_x f \overline{g} dx = \int f – \overline{\partial_x g} dx = \int f \overline{(-\partial_x g)} dx \end{align*}

なので、エルミート演算子ではありません。

虚数単位をかけた微分演算子がエルミートであることの証明

虚数単位をかけた微分演算子

\begin{align*} i \partial_x \end{align*}

を考えてみましょう。

\begin{align*} \int i \partial_x f \overline{g} dx = \int f – i \overline{ \partial_x g} dx = \int f \overline{(i\partial_x g)} dx \end{align*}

となり、エルミートです。

虚数単位とマイナス符号をかけた微分演算子がエルミートであることの証明

虚数単位とマイナスをかけた微分演算子

\begin{align*} – i \partial_x \end{align*}

を考えてみましょう。

\begin{align*} \int – i \partial_x f \overline{g} dx = \int f i \overline{ \partial_x g} dx = \int f \overline{( – i\partial_x g)} dx \end{align*}

となるのでエルミートです。

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